混乱を招くかその危険がある、避けた方が良い言葉と言い回し

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使うのを避けた方がよい言葉や言い回しがたくさんあります。言葉や言い回し の定義が不明瞭であったり、それらが皆さんに諸手をあげて賛成して欲しくな い考えを意味しているためです。

その他の読みもの | 「無料で」 | 「フリーウェア」 | 「ソフトウェアをあげる」 | 「知的所有権」 | 「海賊行為」 | 「保護」 | 「ソフトウェアを売る」 | 「窃盗」 | その他の読みもの

フリーソフトウェアの分類 (18k キャラクタ)も参照してください。

無料で

あるプログラムをフリーソフトウェアであると記したい場合には、「無料で」 使用できますという具合には書かないようお願いします。この「無料で」という 言葉は特に「タダで」ということを意味しているからです。フリーソフトウェア であることは自由の問題であって価格の問題ではありません。

フリーソフトウェアの複製物はたいてい無料で入手可能です。例えば、FTP を 介してダウンロードできます。しかしフリーソフトウェアの複製物はまた CD-ROM に含まれて有料で使用できる場合もあります。ところで、市販のソフ トウェアの複製物も時々販売促進を目的に無料で使用可能である場合も ありますし、いくつかの市販のソフトウェアのなかには特定の使用者に対しては 常に料金なしで使用できるものもあります。

混乱を避けるために、そのプログラムは「フリーソフトウェアとして」 使用可能であると記すことができます。

フリーウェア

「フリーソフトウェア」の同義語として「フリーウェア」という言葉を用いな いでください。「フリーウェア」は 1980 年代によく使用された言葉で、ソー スコードは入手できず実行形式としてのみリリースされたプログラムに使われ ました。今日ではこの語には皆が承諾するような特定の定義はありません。

英語以外の言葉をお使いの場合には、「フリーソフトウェア」や「フリーウエ ア」といった英単語を拝借するのを避けてください。自国の言葉にあるそれほ どあいまいでない言葉を使うようにしてください。例えば、

自国語でフリーソフトウェアにあたる語を考え出せば、この語によってきち んと自由を指し示すことができ、外国の何だか怪しい商売上の言葉を鸚鵡のよ うに繰り返すことはなくなります。自由を強調することは、最初のうちあなた の国の方々には奇異に映るかもしれないし、混乱させるかもしれません。し かし、すぐに慣れるでしょうし、フリーソフトウェアがもつ本当の意味を見い 出すでしょう。

ソフトウェアをあげる

「フリーソフトウエアとしてプログラムを配布します」という意味で「あげま す」という言葉を使うと誤解を生むことになります。この言葉の使用には「無 料で」という言葉と同じ問題があります。つまり、「あげます」という言葉に は問題が価格であって自由ではないという意味が含まれています。この混乱を 避けるには「フリーソフトウエアとして公開します」といえばいいのです。

知的所有権

出版者や法律家は著作権を「知的所有権」という言葉で表すのを好みます。こ の言葉には表には現れない仮定が含まれています。つまり所有権の問題を考え る自然な方法は、物理的なモノとの類推に基礎をおいていますし、加えて自分 たちのアイデアを所有物としてとらえる思考方法に基礎をおいています。

けれどこの類推は物理的なモノと情報との決定的な差異を見過ごしています。 つまり情報はほとんど骨を折らずに複製でき共用できます。一方、物理的なモ ノの場合はそうはいきません。物理的なモノと情報との類推は両者の違いを無 視するに等しいのです。

合衆国の法体系すらこうした類推を全面的に受け入れているわけで はありません。なぜなら、合衆国の法体系でも物理的なモノと同じ具合に著作 権を所有権として扱ってはいないからです。

この種の考え方に自身を縛りたくないならば、会話をしたりものを考える場合 にこの「知的所有権」という語を使用することを避けるべきです。

「知的所有権」という語に関する別の問題には、この言葉を使用することによ り、著作権、特許権、登録商標といった相異なる複数の法律上の体系を同一視 することがあげられます。これらの領域に関する法律を調べ、互いの違いを認 識していない場合、これらの概念をいっしょくたに考えることは間違いなく誤っ た一般化へとひとを導くでしょう。

これらの混同を避けるために、「知的所有権」に代わる言葉を探すことは最善 の策ではありません。そうではなく、著作権、特許権、もしくは法体系上論点 となる一方に関して議論すればよいのです

テキサス大学ロースクールのMark Lemley教授によれば、「知的財産権」とい う語が広く使われるようになったのは1967年に世界知的財産権機関(WIPO)が設 立されて以来のごく最近のことに過ぎません。WIPOは著作権や特許、商標の所 有者たちの利権を代表しており、彼らの権力を増すために政府にロビー活動を しています。WIPO条約の一つは、有用なフリーソフトウェアパッケージのアメ リカ合衆国での利用を検閲するのに使われてきた、デジタルミレニアム著作権 法をなぞったものです。反WIPOキャンペーンに関してはをご覧下さい。

海賊行為

出版業者は禁じている複製を「海賊行為」とよく呼びます。この場合、出版業 者 は違法コピーを海上で船舶を襲い人々を拐い殺害する行為と倫理上同じで あることを暗に述べているのです。

違法コピーを人を誘拐したり殺害したりする行為と同じだと考えたくないなら ば、 違法コピーを指すのに「海賊行為」という言葉を用いなければよいので す。「禁止されている複製」あるいは「許可のない複製」といった中性の言葉 を代わりに用いることができます。我々のうちには違法コピーを指して「仲間 と情報を共有する」といった肯定的な言葉を用いるのを好むひとびとがいるか も知れませんが。

保護

出版業者の顧問弁護士たちは著作権を表すのに「保護」という言葉を用いるこ とを好みます。この言葉は破壊や被害を防ぐという意味を暗に含んでいます。 そのため、この言葉を用いることは、著作権により制限を加えられる使用者で はなく、著作権から利益を得る所有者や出版業者に資することになります。

「保護」という言葉の使用を避け代わりに中立的な言葉を用いるのは簡単です。 例えば、「著作権による保護は長期間存続する」という代わりに「著作権は長 期間存続する」といえばよいのです。

もしも著作権の存在を支持する代わりに批判したいのであれば、「著作権によ る制限」という表現を用いることができます。

ソフトウェアを販売する

「ソフトウエアを販売する」という用語は曖昧です。厳密に言うならば、 利 益を挙げるためにフリープログラムの複製物を取り引きすることは「販売する」 ことに当たります。しかし、通常、ひとは「販売する」という言葉とソフトウ エアの使用に関し所有者による制限が加えられることを結び付けて考えていま す。だから、より正確に表現し混同を避けるには、「手数料を支払うことでプ ログラムの複製物を配布する」と述べるか、または「プログラムの使用に関し 所有者による制限を加える」と述べればよいのです。

この問題に関するより詳しい議論については フリーソフトウェアを販売する をご覧ください。

窃盗

著作権の擁護者は著作権侵害を表すのに「盗み」や「窃盗」という言葉をよく 用います。それと同時に彼らは私たちに倫理に関する権威として法体系をとら えるよう求めてもいるのです。例えば、仮に複製が禁止されているならば、複 製は悪しき行為であるはずだという具合に。

だから少なくとも合衆国の法体系において著作権侵害は「窃盗」であるとする 立場が認められていないことに言及しておくことは適切なことです。「盗み」 といった言葉を用いる著作権擁護者は自分たちが強調するところの権威を誤っ て伝えているのです。

一般的に言って法律が善悪を決めるという考え方は間違っています。 せいぜ い法律にできることは正当性を実現しようという試みに過ぎません。 法律が 正当性や倫理的行為を決めるという考えは事実とは全くあべこべです


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芝崎良典氏の訳を元に、八田真行 <mhatta@gnu.org>が修正を行いま した。

Updated: Last modified: Fri Mar 1 19:36:09 JST 2002